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越 純一郎

事業再生要諦―志と経営力‐日本再生の十年に向けて

事業再生要諦―志と経営力‐日本再生の十年に向けて 人気ランキング : 123956位
定価 : ¥ 1,680
販売元 : 商事法務
発売日 : 2003-10
発送可能時期 : 通常24時間以内に発送
価格 : ¥ 1,680
アンテナを磨こう

人間、30才を過ぎると、読んだ本を受け入れられるかどうか、
個人のアンテナの差が非常に大きくなっていくと思う。
この本を読んで面白くないと思うひともいるでしょう。
誰もが共感できる本ではないと思う。
ただ、自分はこの本を読み終わって感動し、そしてがんばろうと
思うことができたことを、とてもうれしく、誇りに思う。
前書きにある、二人の父に捧げる、という表現。これは、この本を天
に捧げる、という意味に受け取りました。それだけの思いが詰まった、
本当に濃い内容です。この本を読んで驚くのは、読み終わって本を閉じ、
裏表紙をみたとき。税込1680円?はあ?安すぎる。この値段で何回感動
できるんだろう。本は安いね。

決して事業再生だけの為では無い、汎用性のある著者入魂の経営書

事業再生のプロセスを大まかに表現すれば、(1)買う(出資・買収)、(2)育てる(再生・育成・発展させる)、(3)売る(投資資金の回収)であるが、とりわけ(2)の部分が成功の要諦であると著者は言う。事業再生を扱う専門家(弁護士・会計士等)はそこそこの頭数が居るが、(2)の部分を成功裡に導くのは企業経営力そのものであり、このプロセスを担える力量のある経営者が圧倒的に不足していると言う。これは換言すると、事業再生に最も必要とされているのは資金ではなく、「志」と「経営力」であるとのこと。
考えてみるまでもなく、再生機構やファンドが関与している事業でなくとも、事業そのものをターン・アラウンドさせなければいけない状況にある企業は多数あり、「経営理念」、「夢の共有」、「企業の再建」の前に「社員の心の再建」、「販売なくして再建なし」といった著者の言葉は、こういう企業の経営陣にとっても、原点に立ち戻って自省する良薬である。

「志」こそ事業再生力の源泉である

・ドラッカー流に言うなら、「顧客創造」、「イノベーションとマーケティング」、「機会の拡大」、「組織を通して社会に貢献」等々これらを動かす技術としては「マネジメントの必要性」がある。
・しかし、マネジメントだけで人が集合した「組織」が動くわけがない。
・著者の越純一郎氏は、企業再生に関する実務経験から「志」の重要性を説いている。筆者も賛成である。
・今や企業再生も「財務の再生」→「事業の再生」→「組織の再生」へとレベルアップしてきている。組織の再生には、やはり一致団結できる「志」が無いとパワーが結集できない。
・ターンアラウンド・マネジャーは「お医者さん」であり、治療はする。しかし、患者である企業に「治ろうとする意志」がないと無駄な努力に終わる。
・組織再生には「志」の力が必要なのである。事業を再生する力の源泉は「志」である。

将来経営者を目指す人達へ、

産業再生機構が設立されてから既に1年半が経ったが、既に世は事業再生ブームの様子を呈してきている。再生が成功し、更なる飛躍に挑戦している企業も出始めた。時を同じくして、1年前にはあまり見かけなかった企業再生・事業再生に関する書物が今では平積みになって溢れている。それらの多くが、短期的なターンアラウンドを目指し、財務・会計・ファイナンスや関連法規の視点からの記載が中心となっているのに対して、本書はよりスピリチュアルな点から書かれている。言わば企業経営・企業再生に対する心構えのあり方について語っているのだ。
題名に『志と経営力』とあるが、次代の経営者がこの10年間の大不況を肥やしにしてどういう『理念』や『志』を描くか率直に問うている。同時に、企業の中で将来について悩んでいる若者達に経営に目覚めるきっかけを与えようとしているようにも思われた。そういう意味で非常に斬新である。私自身、近い将来、事業再生・企業再生に携わり次代を担う経営者になりたいと思っているが、本書で書かれている『志』をもって臨みたい。

精神論的にも実務論的にも、読み応えあり

全体を通して著者の熱い想いが伝わってきて、非常に感銘を受けた。とくに、著者の議論が常に、「日本を救済する」的な高い視点(著者のいう、志)に支えられており、共感する人も多いと思う。
加えて、この”精神論”にとどまらず、実務面で効果的な指摘がなされていることは秀逸で、評価できる。例えば、
 ・企業再生における本質的な議論が展開されていること。例えば、(よくありがちな財務リストラ的処方ではなく、)事業再生のための経営力の強化こそが必要である、など。
 ・是正すべき構造的・制度的な問題が具体化されていること。例えば、経営型人材の不足、資金調達における個人保証の慣行の存在、など。(実務面で十分な経験のある著者だから、説得力がある)
ここ最近の状況を見れば、いわゆるハゲタカ的なイメージが先行する中でファンド規模のみが徒に拡大するという、まさにブームの渦中にあると言えるだろう。そのような中での著者の主張は非常に新鮮だし重要に思える。このような地に足のついた議論が活発化されることを通して、日本に本当の意味でプライベート・エクイティが健全に根付いくのではなかろうか・・・そんなことを期待させる書籍である。
尚、蛇足とは思うが、あえて苦言を呈すとすれば、全体を通してやや文章そのものが読みづらい。回りくどい、同じことの繰り返し、といった感じがとくに前半部に出ているので。精神論的な部分が余り好きでない人はとくにイライラしてしまうのでは。また、中盤の経営論的な部分に限っては、経営書の類として見ればレベルが低いように思うので、物足りなさを感じる人もいるはず。

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